菊池 正和

咲耶会会員の皆様には、平素より大阪大学外国語学部の教育・研究、そして学生たちの活動に温かいご支援を賜り、心より御礼申し上げます。この4月より外国語学部長に就任いたしました菊池正和です。私は大阪外国語大学の出身ではありませんが、「大阪に国際人を育てる学校を」という志から始まり、一世紀を超えて世界の言語と文化に向き合う人材を育ててきた、その歴史と伝統に深い敬意を抱いております。大阪大学外国語学部となった今日も、語劇祭をはじめ学生の多彩な活動を変わらず支えてくださる咲耶会の存在は、本学部にとってかけがえのない財産です。

現在、世界は地政学的緊張や社会の分断、移民・多文化共生をめぐる課題、さらに機械翻訳や生成AIによる情報環境の急速な変化に直面しています。このような時代だからこそ、外国語を単なる情報伝達の手段としてではなく、その背後にある文化、社会、歴史とともに学ぶ意義は、いっそう大きくなっています。異なる価値観をもつ人々の声に耳を傾け、複雑な現実を安易に単純化することなく、対話の回路をひらくことのできる人材を育てること。それこそが、今日の外国語学部に課せられた重要な使命だと考えています。

箕面キャンパスでは、こうした学びを社会にひらく試みも広がっています。7月には「さまざまな視点で世界を見る」モンゴル編を開催し、大阪外国語大学モンゴル語科を卒業された司馬遼太郎氏とモンゴルとの関わりを手がかりとした講演に加え、馬頭琴やホーミー、遊牧文化の紹介を通じて、多くの方々にモンゴルを多面的に知っていただく機会となりました。また、新たに「OUGC世界ひろば」をスタートさせ、初回にはインドネシアの伝統影絵芝居ワヤンを中心に、留学生や地域の皆様が交流しながら文化を体感する場をつくりました。箕面キャンパスを、学生・卒業生・地域社会、そして世界をつなぐ場として、さらに発展させていきたいと考えています。

このホームページもまた、世代や専攻語、居住地を越えて、咲耶会の皆様と外国語学部の「今」を結ぶ窓口の一つです。折に触れて母校の現在に目を向け、学生たちの学びや挑戦を身近に感じていただければ幸いです。大阪外国語大学から受け継いだ精神を次代へつなぎ、外国語学部の新たな歴史を皆様とともに築いていけるよう努めてまいります。今後とも、咲耶会の皆様の変わらぬご支援とご指導を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。