友禅画家 あだち幸さんの作品が、フランスSNBA展日本代表に!
会報「咲耶」No.21(2010年9月発行)の、「菜の花」欄にもご寄稿いただきました、友禅画家の あだち幸(さち)さん (大E15・英語科 1967年卒)が、昨年12月、パリ・ルーブル美術館内で開かれた「ソシエテ・ナショナル・デ・ボザール(SNBA、国民美術協会)展に、日本代表として招待され、現地の美術関係者からも高く評価されました。
その展覧会とあだちさんの紹介が、2013年1月30日の毎日新聞岡山版に掲載されましたので、ここにご紹介します。
京都壬生寺本堂の襖絵、障壁画の作者としても知られる、あだち幸さんのプロフィール、および今回のSNBA展については、あだちさんのホームページ (文字をクリックしてください) をご覧ください。
以下、毎日新聞記事採録
独自の技法、高く評価
井原の友禅画家、あだち幸さん
井原市の友禅画家、あだち幸さんが先月、パリで開かれたソシエテ・ナショナル・デ・ボザール(SNBA、国民美術協会)展に日本代表として招待された。伝統的な手描き友禅染めに独自の技法を加えた作品は、現地の美術関係者からも高く評価された。
友禅画は着物を染める友禅染めの技法を使った絵画で、シルクのキャンバスをはけで染めた後、筆を使って仕上げる。10以上の工程が必要で、シルクの光沢や貝殻の粉末「胡粉(ごふん)」を使った白色などが特長という。
昨年6月、SNBA名誉会長でパリ在住の画家、赤木曠児郎さんが一時帰国した際、あだちさんの工房を訪問。日本代表に値すると同展に推薦、正式に招待された。
あだちさんはこれまで、「仏」「禅」や人間の内面に巣くう悪魔の心などをテーマに創作してきた。今回は人間の業を理解してもらおうと、「憎悪」「煩悩」など女人の悲しみを描いた作品や、幻想的な「仏眼仏母図」など10点を出品した。
同展には12ヵ国の400人が約600点を出品。会場はルーブル美術館の敷地内にあり、連日4000人以上の入場者でにぎわった。あだちさんの作品に会いたいと何度も足を運ぶ人もいたという。赤木さんは「神々しい白色が、絵の具を重ねる欧州絵画の伝統、常識とは逆の、生地を生かす方法で現れることに感嘆の声が上がった。日本にこのような独自のものがあることは誇らしい」と評した。
あだちさんは「見る人が、『人間とは何か』と考え直すような絵が目標。海外での展示は初めてだったが、まだまだ伝わっていないと感じたので、これからも頑張りたい」と話した。 【斉藤貞三郎】