塩尻和子氏が、「グシ国際平和賞」を受賞されました。

 この度、塩尻和子さん(大阪外国語大学アラビア語学科1967年卒業・卒回大A15、筑波大学名誉教授)が「グシ国際平和賞」を受賞されましたので、ご報告いたします。

受章盾
授賞のテーマ「平和的な宗教間対話の推進とイスラーム理解」と、一番下に現在のマルコス大統領の署名が入っています。

他の受賞者たちと一緒の記念写真。

まずは、ご本人のメッセージから。

グシ国際平和賞については、あまり知られていないとはいえ、私にとっては思いがけない受賞で、身に余る名誉なことでしたので、お知らせしたいと存じます。当初は多くの方々に知っていただきたいなどと、思ってもおりませんでした。しかし、私より前に受賞された日本人の方々が、勤務先などの新聞や大学の報告書に大きく掲載されているのを拝見して、私のケースも、お恥ずかしいことですが、自分が知らないうちに「今年の世界の16人」のうちに選ばれたわけですので、お話ししてもいいのではと思うようになりました。

この受賞については、一年ほど前に、友人の一人が「推薦してもいいか」と連絡をくれ、その後、必要書類を送りましたが、応募したこともすっかり忘れていましたら、9月に入って受賞の連絡が来ました。一人では心もとないので、やむなく夫と一緒にマニラへ行って授賞式に出席してきたという次第です。今年の授賞式は11月24日で、式典は毎年、11月の第4木曜日に設定されています。参加経費は全て私費で、現地へ出向いて出席しなければ、賞はもらえないということで、散々悩んだ末に、夫と一緒にマニラへ行ってきました。

今年は特にフィリピンの政府関係者が中心となって、大きくにぎやかな受賞式になったようでした。受章盾の一番下にはフィリピン大統領の署名もあり、私の受賞理由は「平和的な宗教間対話の推進とイスラーム理解」として、英語で書き込んでありました。小さい賞とはいえ、まだ何も世界平和に貢献した成果がないので、お恥ずかしいことでした。

日本人の受賞について私が確認した限りでは、これまでこの賞を受賞された方々は4人か5人で、その中の4人までが免疫学などを研究する大学病院の医学者でした。今回も受賞者の多くは実業家、政治家、経営者、医師などという人が多く、大学教育に関するものは私一人でした。

授賞式のスピーチの中で、大阪外国語大学でアラビア語を学んだことが、授賞理由に繋がったことを話しました。今年を振り返りますと、5月1日の大阪大学90周年・大阪外国語大学100周年の記念講演会でお話をさせていただいたことと共に、身の引き締まる出来事でもあったと、思います。

恩師や研究仲間たちから「これまで積み重ねてきた仕事が、的確に評価されたもの」として、苦労が実ったと喜んでいただきました。

以上になります。

塩尻和子様、ご受賞、誠におめでとうございます。心から、お慶び申し上げます。今後の益々のご活躍を祈念しています。


※グシ国際平和賞について
グシ国際平和賞(Gusi Peace Prize International)は、太平洋戦争時に日本軍に抵抗したフィリピンの抗日ゲリラの英雄だったグシ氏を記念して息子のバリー・グシ(Barre Gusi)氏が2002年に創設したものです。当時、フィリピンの人たちにとっての英雄は日本人にとっては敵でした。大戦では約50万人の日本兵が戦死、100万人以上のフィリピン人が命を落としました。グシ平和賞を日本人が受賞することには特別な意味があると聞いています。太平洋戦争の怨念(おんねん)を超えた世界平和への貢献として考えられているようです。この賞は、様々な分野で世界の平和と進歩に貢献した人、或いは、団体に贈られる賞となりました。