大S21 杉本重雄さん著 『ポントを解く 京都「先斗町」地名考』

イスパニア語学科 昭和48年(1973)卒(大S21)杉本重雄さんが、京都「先斗町」の地名となった「ポント」という語について考察した本

『ポントを解く 京都「先斗町」地名考』(北斗書房刊、定価(1000円+税))

を出版されましたのでご紹介します。(タイトルをクリックすると、主な内容・カバー記載の紹介文・目次をご覧頂けます。)

「先斗町」の呼称は「先・先端を意味するポルトガル語のポントに由来し、それが、もと洲崎であったこの地に付けられた。」というのが今日の通説となっており、多くの京都本や地名解説書はもとより『広辞苑』をはじめとする国語辞典などにも広く採用されています。

しかし、杉本さんは、ポルトガル語で「先・先端」を意味する語はpontaポンタであってpontoポントではないという理由から、この通説に疑問を抱かれたそうです。

そこで、ポントという語が登場している井原西鶴の作品など江戸時代の複数の文献に基づく考証とポルトガル語解釈の再検討を行った結果、通説より遥かにシンプルで合理的な新解釈を発見されたとのこと。

本学附属外国学図書館に通って、日本語はもとより、ポルトガル語・スペイン語・フランス語・英語など各国語の各種辞書をワン・ストップで参照出来たことが、ポントの語源解明に大変役立ったそうです。

京都の風情ある花街のひとつであり、観光客にも人気の「先斗町」。この本を読んでから訪ねると、京都観光が一層深みを増すものになるかも?ぜひご一読ください。

※なお、この新説の要旨は「京都地名研究会」の年会誌『地名探究』第11号(2013年4月28日発行)に「「先斗町」地名考 ―カルタ用語ポントの新解釈を踏まえて―」と題して掲載されました。

著者:杉本重雄さん
イスパニア語学科 昭和48年(1973)卒(大S21)
富士銀行(現、みずほ銀行)在職中に、ブラジル・メキシコ・米国・スペイン・英国・フランスで計19年余りに及ぶ海外勤務を経験
2003年から4年半京都市在住
京都地名研究会会員