杉本孝司 学部長より

咲耶会名誉会長
大阪大学外国語学部
学部長 杉本 孝司
 
 統合から3年目を迎え、大阪大学事情を「頭」ではなく「体」で理解できていると感じることも徐々には増えてきたように思います。とはいえ現在も旧課程と新課程が並行して存在し、その両方の教育課程の保証には更に知恵を絞っていかねばならないことが多々あることも事実です。
年に一度のご挨拶ですので、この機会に日頃箕面の変化に親しんでおられない卒業生の皆さまにはこの一年間で「様変わりした部分」を数多くご報告できればいいのですが、なかなかそれもかないません。
ごく簡潔かつ大まかにではございますが、以下のことを先ずご報告させていただきます。
 
 昨年夏より開始されたA棟北棟の耐震工事がこの春に完了しました。この耐震工事に伴い各部局所属教員の研究室配置変更が更に進み、現在は世界言語研究センター所属教員はB棟に、言語社会専攻所属教員はE棟に移りました。
これまでの研究室はA棟からはなくなり、その他の部局所属で外国語学部の授業を担当する教員が利用する「学生指導室」が5階以上に設けられ、また最上階は人間科学研究科のフロアにもなっています。
卒業生の皆さまにとっては各棟は「以前とは似て非なるもの」と映ることでしょう。またバリアフリー化の工事も多くの個所に施されました。

外国語学部の教育は今はA棟を中心に行っています。更に、この夏からの豊中での工事の関係で外国語学部豊中教務分室やこれまで授業を行っていたイ号館内教室は使用できなくなり、その多くは実践センターC棟を中心に振り替えることが決まっています。
 
 来年度に新課程学生が初めて4学年揃うにあたり、これを一つの区切りとして平成24年度以降を見据えて、総合大学の一学部としての外国語学部が提供すべき教育課程や教育内容の検討作業もすでに始めております。大学院を含めた組織のあり方の検討にも着手しております。
大学や社会が外国語学部に期待することにも耳を傾け、同時に外国語学部の揺るぎないコアに立脚した外国語学部からの大学や社会に向けての提言や主張が十分に理解され反映される方向性を見い出したいと考えております。
 
 1921年の大阪外國語学校開学以来、来年で90周年、この年は大阪大学80周年にもあたります。新課程完了年度と創立90周年が重なるのも何かの因縁かもしれません。この年を節目の年と捉え、学部として更に大きく飛躍するための努力を惜しまない所存でございます。

卒業生の皆さまからも忌憚のないご意見を頂戴できますよう心からお願い申し上げます。

会報「咲耶」21号より